天然歯と
インプラント歯の違い
インプラント治療で取り戻した歯は、ほとんど天然歯と同じように見えますが構造に違いがあります。インプラントは、歯の根の代わりになる「インプラント本体」、歯の代わりになる「被せ物」、そしてその両方を繋ぐ「接合部」が合わさって人工の歯を作り直します。
インプラント治療の
主な方法
歯の根となる
インプラント体を埋入
インプラントという人工の歯の根を、歯を失った箇所のあごの骨に埋め込み、骨と結合させます。
歯の代わりになる
人工の歯のセット
埋め込んだインプラントを土台として、人工の歯を設置し、歯の見た目と機能を回復します。
インプラントとは?
WHATS.01
インプラント体は
人工の歯の根
インプラントそのものはチタンで出来ています。歯の根と同じように約10mm程度の長さをしているチタン製の人工物が、歯の根の代わりにあごの骨に埋め込まれます。
WHATS.02
インプラント体は
骨と結合して安定
インプラント体の素材であるチタンには、時間の経過とともに骨と一体化して固まってしまう性質があり、この作用を利用して、人工の歯の根をしっかりと固定させています。インプラントはネジの様な形状で溝が刻まれており、スクリューさせてあごの骨にしっかりと埋め込めるようになっています。またインプラントのメーカーごとに、より良く骨と結合させるために工夫が凝らされた表面形状で作製されており、これがメーカーごとの大きな性能の違いとなっています。
WHATS.03
インプラントの歴史
インプラントの起源は3世紀ごろと言われていますが、現在の安定したインプラント治療の原型は1950年代初頭に、スウェーデンの医学者ペル・イングヴァール・ブローネマルク博士が、チタンと骨の結合を発見したことで、技術の進歩が始まりました。それまで、鉄や貝・金・エメラルド・サファイア・アルミニウムなど、様々な素材がインプラントとして利用されてきましたが、とても長期的に安定して使用できるようなものはありませんでした。博士は研究を重ねることで、オッセオインテグレーションと呼ばれる、チタンと骨の結合メカニズムを解明。歯学者でもあった博士は、これを応用したチタン製インプラントの治療法を確立することで、チタンと骨の結合により長期安定を実現する、現在のインプラント治療の基礎を築くこととなりました。
インプラント治療の
メリット
MERIT.01
天然歯のように
しっかり噛める
インプラントの最大とも言えるメリットは、天然の歯に近い噛み心地です。人工の歯根を顎の骨に埋めてしっかりと結合するので、物を噛んでもグラついたりすることなく、硬い物でもしっかり噛むことができます。
MERIT.02
天然歯のような
自然な見た目
歯を根っこから作り直すという構造から、自然で違和感なく天然歯のような見た目になるよう人工歯が設置されます。人工歯の素材自体も保険外素材を使用するので美しく強度に優れたものが入ります。
MERIT.03
周囲の歯に
ダメージが少ない
インプラント以外の治療法である入れ歯やブリッジの場合、周囲の健康な歯を削ったり、負担をかける必要があります。インプラントは、他の歯に助けを求めずに、単独で歯を入れることができるので、周囲の歯にダメージを与えません。
MERIT.04
口元の若々しさが
保ちやすい
インプラントを埋めた骨は、かむ刺激を直接受けるため、他の治療法に比べて骨が痩せづらく、顔の張りなども保ちやすいので見た目を若々しく保ちやすい面もあります。
MERIT.05
お手入れしやすく
口臭が出にくい
薬剤等でケアをするブリッジや入れ歯と異なり、インプラントは他の天然の歯と同様歯磨きを行えます。歯磨きの方が磨き残しが出づらく、清潔な状態を保ちやすいので口臭が起こりにくくなります。
MERIT.06
はっきり発音できる
人工歯がグラつきや隙間なくしっかりと固定されます。空気が漏れたり、舌の動きを妨げることがないので、はっきりとストレスなく発音することができます。
MERIT.07
身体のバランスが
保ちやすい
歯を失うと、力強く噛み合わせられず、重い物を持ち上げたり、体重移動の際に、うまく踏ん張ることがしにくくなります。インプラントは強く噛み合わせることができるので、従来のようにふんばりが効くようになります。
インプラント治療の
医院選びの
3つのポイント
POINT.01
治療実績がある
経験が豊富であることは最大のメリットです。とても急いでいる時に捕まえたタクシーの運転手に土地勘がなければ不安しかありません。走り出してから知らされても時すでに遅しです。インプラントも、そのドクターの治療頻度が、3日に1回なのか、数か月に1回なのかで、同じ費用を支払っても得られる質には雲泥の差が出てきます。また一口に「質」と言っても、ドクターの話だけではありません。治療に関わるチームの経験値も重要です。それぞれの持ち場の総合力が、最終的な治療の質となります。器具の準備に余念はないか、連携はスムーズか、イレギュラーをどれだけ経験しているか、全てかけ合わせたものが、患者様が受ける治療の良し悪しとなって現れます。
POINT.02
CT診断に精通している
インプラント治療を行う上で不可欠なのがCT診断です。当院では歯科用CTを導入して精密診断を行なっています。インプラントはわずか10mm程度の小さなものですが、埋め込み位置の内部には、目視できない骨の形状や神経・血管などがたくさんあり、無視して埋入することは不可能です。平面のレントゲン写真では把握ができないものも、CTであれば把握できるようになります。安心してインプラント治療を受けるには、CTが導入されていて、CT診断経験の豊富な歯科医院を選ぶ必要があります。
POINT.03
適切な費用が設定されている
「インプラントは何を使用しているか」、「人工歯の素材は何か」、「総額はいくらか」です。インプラントは、特に「ストローマン」や「ノーベルバイオケア」というメーカーを使用していれば相場程度の費用は妥当です。それ以外のインプラントの場合は、セカンドオピニオンなどでご確認された方が良いのではないかと思います。人工歯にとっては、強度と審美性が欠かせない要素なのですが、性能が低く安価なレジンやハイブリッドが使われている場合は、要注意です。相場に近い費用となっている場合は、十分な吟味が必要です。また大きく表示された費用が、実は総額ではなくインプラントの費用のみの場合もあります。人工歯や手術費用も含めるといくらになるのかをしっかり確認する必要があります。
インプラントの費用の相場
インプラント治療費用の日本での相場は、1本35~40万円前後と言われており、保険適用が認められていない自費治療です。入れ歯は、保険で行えるものが約2万円程度、自費のものは10万円以上。ブリッジは保険なら2万円前後、自費なら5〜10万円ほどになります。治療により得られるメリットが大きい分、治療の質も費用も高い水準を要します。
骨量が不安な場合
歯の無い状態が続くとあごの骨が痩せていき、あまり長期間続くと、インプラントを埋め込むにも骨が不十分となってしまう恐れがあります。骨の量が不十分となってしまった場合、そのままではインプラントを埋め込むことは困難ですが、骨を増やす処置などを行うことで治療可能な場合があります。当院はそういった難症例にも対応しておりますので、他院で難しいと言われた場合でもまずはお気軽にご相談ください。
CASE.01
サイナスリフト
上顎の骨の上には(上顎洞)と呼ばれる大きな空洞があります。上顎の奥歯がを失った状態のままだと、時間の経過とともにこの空洞が拡がり、インプラントを埋入するのに必要な上顎の骨の厚みが足りなくなります。そこで、上顎洞に骨を移植したり骨補填材(骨を増やす材料)を用いて、上顎洞の底部分を押し上げてできたスペースに骨の厚みを作る処置です。
CASE.02
ソケットリフト
上顎の骨の上には(上顎洞)と呼ばれる大きな空洞があります。上顎の奥歯がを失った状態のままだと、時間の経過とともにこの空洞が拡がり、インプラントを埋入するのに必要な上顎の骨の厚みが足りなくなります。そこで、上顎洞に骨を移植したり骨補填材(骨を増やす材料)を用いて、上顎洞の底部分を押し上げてできたスペースに骨の厚みを作る処置です。
CASE.03
GBR(骨再生誘導)
歯を失って、時間が経つと、しだいに周りの歯槽骨が吸収されていきます。歯槽骨が足りない部分に、粉砕した自家骨あるいは骨補填材をおき、その上に人工膜をおきます。歯肉などの柔らかい組織が入ってこなくなるので、骨の再生が促されます。
CASE.04
スプリットクレスト
極端に薄くなった骨を分割して、その隙間にインプラントを埋入する方法です。ただ、非常に割れやすくなっている歯槽骨を破折しないように細心の注意を払う必要があり、高度な技術力が求められる治療法です。
歯の欠損を放置して
起こること
CASE.01
骨吸収
加齢などで口元が痩せて見えることがありますが、顎の骨が衰えて減ることで起こります。特に歯が抜けると、歯を支える役割を失った骨は衰えが早くなります。食べ物の咀嚼で与えられる刺激が、骨を保つ指令となっているからなのですが、歯を失うことで刺激を受けなくなり骨は徐々に減ってゆきます。これが骨吸収と呼ばれるものです。
CASE.02
周囲の歯への影響
歯を失った箇所の骨は、その歯だけを支えている訳ではありません。骨吸収が起こっている周りの歯にとっても、支えになっている骨が徐々に減っていきます。たとえ歯自体が健康だったとしても、土台からのぐらつきや揺れなど不安定になってしまいます。
インプラント治療の
役割
骨吸収によって骨が失われた場合には、そのままではインプラントを埋入できるほどの骨量が無い場合があります。その場合は、上記にあるような増骨処置を行い、あらかじめ土台となる骨を確保したうえでインプラント治療を行います。
インプラント治療により、歯の根の代わりとなるものが顎の骨に埋め込まれます。埋め込まれてしばらくは、インプラントと骨との境目で、骨の吸収(破壊)と再生が繰り返され、徐々にあごの骨に結合していき安定するようになります。人工の歯の根とは言えインプラントは歯の根としての役割を果たすようになり、咀嚼などの刺激を受け、骨吸収のリスクを減らしていきます。